ある男が、よその家の門に呼び出し用の鈴がついているのを見て、それを盗もうと考えたが、鈴に手をふれれば音がするのをはばかつてさすがに手を出しかねていた。ところがこの男ふと考えるに、鈴がなつてはうまくいかないのは、鈴の音が人の耳に入るからではないか、それならおれが耳を手でしつかりふさいでいれば音は聞こえまい、何とうまい手があるもんだと手をうつて、さつそく自分の耳をふさいでおいて鈴を盗みにかかつた。とこ...
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ある男が、よその家の門に呼び出し用の鈴がついているのを見て、それを盗もうと考えたが、鈴に手をふれれば音がするのをはばかつてさすがに手を出しかねていた。ところがこの男ふと考えるに、鈴がなつてはうまくいかないのは、鈴の音が人の耳に入るからではないか、それならおれが耳を手でしつかりふさいでいれば音は聞こえまい、何とうまい手があるもんだと手をうつて、さつそく自分の耳をふさいでおいて鈴を盗みにかかつた。とこ...