むかし、ある汗(カーン)の国に、まずしい牧(アラト)人が住んでいた。妻は三人の子供を生んだが、みんな死んでしまつた。それで夫婦はたつた二人でさびしくくらしていた。ある年の冬のこと、牧人の妻は思いがけなく男の子を生んだ。夫婦はたいへん喜んだが、さてどうしてこの子を育てたものかと二人は眉をよせた。まずしい牧人夫婦の家には、牝牛一頭と山羊二頭しかいない。子供を育てるといつても、これではしようがない。二人...
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むかし、ある汗(カーン)の国に、まずしい牧(アラト)人が住んでいた。妻は三人の子供を生んだが、みんな死んでしまつた。それで夫婦はたつた二人でさびしくくらしていた。ある年の冬のこと、牧人の妻は思いがけなく男の子を生んだ。夫婦はたいへん喜んだが、さてどうしてこの子を育てたものかと二人は眉をよせた。まずしい牧人夫婦の家には、牝牛一頭と山羊二頭しかいない。子供を育てるといつても、これではしようがない。二人...