むかしむかし、あるところに、かしこい働きものの娘がおつた。その娘の仕事のしぶりのすばやいことといつたらなかつた。朝起きて生麻の緖を蒸して、それを裂いて、糸によつて、ねり絹のようにやわらかな麻布に織つて、さてその麻布で飯びつをつつんで、野良へ持つていつても、畑に出た人たちの朝飯にちやんと間に合うほどであつた。娘の名は遠近に知れわたつておつたから、嫁にもらいたいという人がひきもきらずにやつて來て、娘の...
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むかしむかし、あるところに、かしこい働きものの娘がおつた。その娘の仕事のしぶりのすばやいことといつたらなかつた。朝起きて生麻の緖を蒸して、それを裂いて、糸によつて、ねり絹のようにやわらかな麻布に織つて、さてその麻布で飯びつをつつんで、野良へ持つていつても、畑に出た人たちの朝飯にちやんと間に合うほどであつた。娘の名は遠近に知れわたつておつたから、嫁にもらいたいという人がひきもきらずにやつて來て、娘の...