むかし一人の年とつた漁師がいた。舟一そうと網一枚が身上で、晝は川で魚をとり、夜は舟を岸によせて舟のなかで眠るという貧乏ぐらしだつた。六月のある夜のこと、爺さんは洪水のために水かさをました川の岸に腰をおろし、がつかりした氣持ではげしい水の流れを眺めていた。と、突然川のなかほどにポカリと金色の火の玉が浮かんだ。火の玉はその場を動かずにチカチカと光つている。こりやバケモノだろうか、それともタカラモノだろ...
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むかし一人の年とつた漁師がいた。舟一そうと網一枚が身上で、晝は川で魚をとり、夜は舟を岸によせて舟のなかで眠るという貧乏ぐらしだつた。六月のある夜のこと、爺さんは洪水のために水かさをました川の岸に腰をおろし、がつかりした氣持ではげしい水の流れを眺めていた。と、突然川のなかほどにポカリと金色の火の玉が浮かんだ。火の玉はその場を動かずにチカチカと光つている。こりやバケモノだろうか、それともタカラモノだろ...