三人の男と野良犬

ある正直な男が部屋に座つていると、突然一人の男が門前を息せききつて駆けぬけながら、「大変だア、虎が町に入つて來たぞオ」と叫んだ。男は「虎なぞが町に入つてくるはずはない」と笑つたが、しばらくすると、「また一人の男が門前を「大変だア、虎がやつて來たぞオ」と叫びながら走つていつた。「ほんとうに虎が來たのかな」と男がいくらか本氣になりかけていると、三人目の男が、これも「大変だア、虎が來たぞオ！」と叫びなが...