あるところに高い山がそびえていました。山には瀧がかかり、その水はながれながれて、下の方の淵にそそいでいました。あたりに松や檜のうつそうとしげつたその淵は年ぢゆう靑靑とした水をたたえ、淵の深さはだれにも見当がつきません。淵のほとりにほそい道がいつぽんついていましたが、木こりいがいには、めつたに通る人とてありません。ある日、一人の牛飼の少年が、逃げた牛をさがしに山へやつてきました。少年はさんざん探しあ...
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あるところに高い山がそびえていました。山には瀧がかかり、その水はながれながれて、下の方の淵にそそいでいました。あたりに松や檜のうつそうとしげつたその淵は年ぢゆう靑靑とした水をたたえ、淵の深さはだれにも見当がつきません。淵のほとりにほそい道がいつぽんついていましたが、木こりいがいには、めつたに通る人とてありません。ある日、一人の牛飼の少年が、逃げた牛をさがしに山へやつてきました。少年はさんざん探しあ...