民謠をたずねて

中国には古くから民謠收集のならわしがある。西曆紀元をさかのぼる何世紀もの昔から、各王朝は民謠をあつめる専門の役人をおき、その仕事を「采風」と呼んだ。「采風」の目的は、庶民の手でつくられ、庶民の間に流行している民謠をとおして、社会の風習や庶民の願望を知るにあつたといわれている。たしかにこれはうがつた方法である。詩歌は人の心の声だといわれるが、だとすれば民謠はおそらく世界でいちばん大切な声にちがいない...