四川省の峨嵋山には昔からお寺が沢山あつた。大きな寺の和尚さんは金持で、小さな寺の和尚さんは貧乏だつた。ある日貧乏な和尚が金持の和尚のところへしばしの別れをつげに來た。南海参りに出かけるという。南海は峨嵋山から五〇〇里もあり、山を越え川を渡り、幾月もかかる旅路の難儀はひとかたのものでない。そこで金持の和尚がきいた。「どうやつて行きなさる」「この瓶と鉢さえあれば結構。ノドがかわけば瓶の水を飮む。腹がへ...
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四川省の峨嵋山には昔からお寺が沢山あつた。大きな寺の和尚さんは金持で、小さな寺の和尚さんは貧乏だつた。ある日貧乏な和尚が金持の和尚のところへしばしの別れをつげに來た。南海参りに出かけるという。南海は峨嵋山から五〇〇里もあり、山を越え川を渡り、幾月もかかる旅路の難儀はひとかたのものでない。そこで金持の和尚がきいた。「どうやつて行きなさる」「この瓶と鉢さえあれば結構。ノドがかわけば瓶の水を飮む。腹がへ...