一白家寨(はくかさい)(パイチヤアツアイ)の村はずれまでたどりつくと、私はしばらく足をとめて村を見わたした。胸がはげしい慟悸をうつた。一九四二年に私がこの村を後にした頃とは、村の樣子はまるで違つている。その頃はボロボロの土造家屋ばかりだつた。どこをみても荒涼としていたし、村の南の河床は、アルカリ性の白い粉をふいて干上つていた。それにしても、十五年間見ぬうちに、何という大きな変りようだろう。河床は耕...
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一白家寨(はくかさい)(パイチヤアツアイ)の村はずれまでたどりつくと、私はしばらく足をとめて村を見わたした。胸がはげしい慟悸をうつた。一九四二年に私がこの村を後にした頃とは、村の樣子はまるで違つている。その頃はボロボロの土造家屋ばかりだつた。どこをみても荒涼としていたし、村の南の河床は、アルカリ性の白い粉をふいて干上つていた。それにしても、十五年間見ぬうちに、何という大きな変りようだろう。河床は耕...