一宋大振(そうだいしん)(スン·ターチエン)さんは夕食をすまして部屋にかえつてくると、上衣を壁にかけ、タオルで顏をふきながら西日のさしこむ窓へあゆみよつた。そこからは揚子江(ようすこう)(ヤンツーチヤン)がみえた。夕日のなかを船が忙しそうに往來していた。さざ波がキラキラとかがやいていた。だが、彼はこの景色にみとれているのではなかつた。彼の視線は揚子江大鉄橋の工事現場にそそがれていた。そこでは十日ほ...
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一宋大振(そうだいしん)(スン·ターチエン)さんは夕食をすまして部屋にかえつてくると、上衣を壁にかけ、タオルで顏をふきながら西日のさしこむ窓へあゆみよつた。そこからは揚子江(ようすこう)(ヤンツーチヤン)がみえた。夕日のなかを船が忙しそうに往來していた。さざ波がキラキラとかがやいていた。だが、彼はこの景色にみとれているのではなかつた。彼の視線は揚子江大鉄橋の工事現場にそそがれていた。そこでは十日ほ...