「親類緣者」

ある日のこと、艾子は友達といつしよに近所へ散歩に出かけた。二人でぶらぶら歩いてゆくうちに、むこうから分限者が馬車にのつてやつてくるのを見ると、その友達は艾子にいつた。「あれはうちの親類だよ、邪魔にならないようによけて行こう」それからしばらくしてまた、從者に大日傘を後からさしかけさせながら貴人がやつて來た。これを見ると、その友達はまた「あれはわしの友人だよ、邪魔にならないように道をよけよう」といつた...