晩春のある朝、わたしは銀白色の森林パトロール用の飛行機にのりこむと、ホロンバイル草原のハイラル飛行場を出発して、大興安嶺(だいこうあんれい)(ターシンアンリン)の森林の上空へむかつた。空は靑く澄んで、雲の影ひとつない。約一時間後には、草原は視界から消えて、起伏する山山がつづく。山の木立は次第に色濃くなつて、まもなく見わたすかぎり暗綠色の樹海になる。河が数條、帶のように谷間を縫つて光つている。そうし...
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晩春のある朝、わたしは銀白色の森林パトロール用の飛行機にのりこむと、ホロンバイル草原のハイラル飛行場を出発して、大興安嶺(だいこうあんれい)(ターシンアンリン)の森林の上空へむかつた。空は靑く澄んで、雲の影ひとつない。約一時間後には、草原は視界から消えて、起伏する山山がつづく。山の木立は次第に色濃くなつて、まもなく見わたすかぎり暗綠色の樹海になる。河が数條、帶のように谷間を縫つて光つている。そうし...