昔あるところに一人の金持が住んでいた。東隣りは銅器をつくる鍛冶屋、西隣りは鉄器をつくる鍛冶屋だつた。そこで朝から晩まで、トンテンカン、トンテンカンとやかましい槌の音のたえまがなかつた。金持の主人は逢う人ごとに『あいつらがひつこしてくれるなら、一席設けてやるのだが。』といつた。ある日両隣りの鍛冶屋がいつしよにやつてきて言つた。『わしらひつこすつもりですが、一杯やらかしますかね。』何時こすかときけば、...
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昔あるところに一人の金持が住んでいた。東隣りは銅器をつくる鍛冶屋、西隣りは鉄器をつくる鍛冶屋だつた。そこで朝から晩まで、トンテンカン、トンテンカンとやかましい槌の音のたえまがなかつた。金持の主人は逢う人ごとに『あいつらがひつこしてくれるなら、一席設けてやるのだが。』といつた。ある日両隣りの鍛冶屋がいつしよにやつてきて言つた。『わしらひつこすつもりですが、一杯やらかしますかね。』何時こすかときけば、...