むかし一人の男が、黄河流域の中原から、揚子江流域の楚の國へ旅立つた。ところがこの男は方角を北にとつて馬をすすめた。そこである人がいつた。『楚の國は南にあるのに、貴下はなぜ北をさして行かれるのか。』男がこたえた。『なに大丈夫。わしの馬は駿馬で脚が速いから。』『いくら脚が早くても、北をさして行つたんでは楚の國にはゆけまい。』『なに大丈夫。わしは路銀をたつぷりもつている。』『いくら路銀があつても、北をさ...
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むかし一人の男が、黄河流域の中原から、揚子江流域の楚の國へ旅立つた。ところがこの男は方角を北にとつて馬をすすめた。そこである人がいつた。『楚の國は南にあるのに、貴下はなぜ北をさして行かれるのか。』男がこたえた。『なに大丈夫。わしの馬は駿馬で脚が速いから。』『いくら脚が早くても、北をさして行つたんでは楚の國にはゆけまい。』『なに大丈夫。わしは路銀をたつぷりもつている。』『いくら路銀があつても、北をさ...