ところは北京の郊外。一九五五年のはじめのある寒い日の夕方、ひどい風のなかを自轉車で郵便局へいそぐ少年がいた。赤いネツカチーフをつけたこの少年が大事そうにかかえていたのは、遠い黑龍江(こくりゆうこう)(ヘイロンチヤン)省の國営『友誼』農場におくる小包だつた。それから何カ月かたつて、『友誼』農場の試驗場の一角では、『少年先鋒隊員号』と名づけられた穀物のいくつかの品種が芽を出した。あの赤いネツカチーフの...
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ところは北京の郊外。一九五五年のはじめのある寒い日の夕方、ひどい風のなかを自轉車で郵便局へいそぐ少年がいた。赤いネツカチーフをつけたこの少年が大事そうにかかえていたのは、遠い黑龍江(こくりゆうこう)(ヘイロンチヤン)省の國営『友誼』農場におくる小包だつた。それから何カ月かたつて、『友誼』農場の試驗場の一角では、『少年先鋒隊員号』と名づけられた穀物のいくつかの品種が芽を出した。あの赤いネツカチーフの...