魯の哀公が孔子にたずねた。『世の中にはひどく忘れつぽい男がいるとみえて、家をひつこす時、女房を置き忘れたという話を聞いたことがあるが、はたしてこのような人間がいるものだろうか。』『なにも、めずらしいことではありません。わが身のことさえ忘れるうつけものがいるくらいですから。』と、孔子。魯の哀公は不審におもつていつた。『ならば、実例をあげてみるがよい。』そこで孔子はこう答えた。『むかし夏の桀王は毎日淫...
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魯の哀公が孔子にたずねた。『世の中にはひどく忘れつぽい男がいるとみえて、家をひつこす時、女房を置き忘れたという話を聞いたことがあるが、はたしてこのような人間がいるものだろうか。』『なにも、めずらしいことではありません。わが身のことさえ忘れるうつけものがいるくらいですから。』と、孔子。魯の哀公は不審におもつていつた。『ならば、実例をあげてみるがよい。』そこで孔子はこう答えた。『むかし夏の桀王は毎日淫...