ヨロイ草はむかしから高貴な植物といわれている。ある日、町の人がヨロイ草をつみに、はるばる田舍の村へ出かけ、いきなり山の上まで一息にかけあがつた。『なにせ高貴な花のことだから、頂上に生えているにちがいない。つまらぬところに生える道理がない。』というわけで、あちらの木かげ、こちらの岩かげとくまなくさがしまわつたが、どうしても見つからない。町の人はすごすごひきあげたが、翌日はおなじ道をまた頂上までかけ登...
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ヨロイ草はむかしから高貴な植物といわれている。ある日、町の人がヨロイ草をつみに、はるばる田舍の村へ出かけ、いきなり山の上まで一息にかけあがつた。『なにせ高貴な花のことだから、頂上に生えているにちがいない。つまらぬところに生える道理がない。』というわけで、あちらの木かげ、こちらの岩かげとくまなくさがしまわつたが、どうしても見つからない。町の人はすごすごひきあげたが、翌日はおなじ道をまた頂上までかけ登...