太行山と王屋山はどちらも雲にそびえたつ高山、ふもとをひとまわりすれば、ゆうに百里はあつた。ふたつの山の北の麓に愚公(ユイコン)という九十歲の老翁が住んでいた。ある日愚公は一族の者をあつめて言つた。『あのふたつの山が道をふさいで往き來に不便じや。ひとつみんなで力をあわせ、山をとりのぞいて豫州までまつすぐの道をひらいたらどうじや。』みんなは一も二もなく賛成した。愚公の妻だけが心配してたずねた。『これつ...
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太行山と王屋山はどちらも雲にそびえたつ高山、ふもとをひとまわりすれば、ゆうに百里はあつた。ふたつの山の北の麓に愚公(ユイコン)という九十歲の老翁が住んでいた。ある日愚公は一族の者をあつめて言つた。『あのふたつの山が道をふさいで往き來に不便じや。ひとつみんなで力をあわせ、山をとりのぞいて豫州までまつすぐの道をひらいたらどうじや。』みんなは一も二もなく賛成した。愚公の妻だけが心配してたずねた。『これつ...