一水集鄕の李ばあさんは、人は良いが、いくらか強情つ張りなところがある。それに話好きで、村の人たちから『石つころにさえ話しかねない』といわれているほどだ。ところで、水集貯水池ができてからは、おしやべりのたねがまた一つふえたというもの。春だつたが、朝、霜がおりていた。野菜畑に出たばあさんは空に向つてわめいた。『やいこの霜野郞、勝手に降りやがれ、十日でも二十日でも降りやがれ、いくら降つてもびくともするも...
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一水集鄕の李ばあさんは、人は良いが、いくらか強情つ張りなところがある。それに話好きで、村の人たちから『石つころにさえ話しかねない』といわれているほどだ。ところで、水集貯水池ができてからは、おしやべりのたねがまた一つふえたというもの。春だつたが、朝、霜がおりていた。野菜畑に出たばあさんは空に向つてわめいた。『やいこの霜野郞、勝手に降りやがれ、十日でも二十日でも降りやがれ、いくら降つてもびくともするも...