一九五二年十二月はじめのある朝、太陽がやつと地平線をはなれたばかりのころ、私の運轉する機關車『三八』号は無事に任務をはたして、大連駅にすべりこみました。すると、機關車からまたおりぬうちに、『田桂英さんが中学にはいろ!』とうれしそうにはしやいでいる声がきこえました。そのとき私はまだ自分の耳をうたがつていました。私はとぶようにして機關区長室へゆきました。区長さんはニコニコしながら私を見、机の引出しから...
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一九五二年十二月はじめのある朝、太陽がやつと地平線をはなれたばかりのころ、私の運轉する機關車『三八』号は無事に任務をはたして、大連駅にすべりこみました。すると、機關車からまたおりぬうちに、『田桂英さんが中学にはいろ!』とうれしそうにはしやいでいる声がきこえました。そのとき私はまだ自分の耳をうたがつていました。私はとぶようにして機關区長室へゆきました。区長さんはニコニコしながら私を見、机の引出しから...