一、新しい油田―玉門万里の長城の最西端にある嘉峪關から一歩そとへ足をふみだしたわたしたちの眼の前には果てしなくゴビの砂漠がひろがつていた。砂礫におおわれた灰色の大地の上には一軒の人家も一本の樹木も見出せなかつた。ただいんうつな空がおおいかぶさつているだけである。ラクダの一群が、のろのろとした歩みをつづけてゆく。くびにつけた鈴が、さみしい響きをたてる。わたしたちのトラックをのぞいて、すべてのものは、...
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一、新しい油田―玉門万里の長城の最西端にある嘉峪關から一歩そとへ足をふみだしたわたしたちの眼の前には果てしなくゴビの砂漠がひろがつていた。砂礫におおわれた灰色の大地の上には一軒の人家も一本の樹木も見出せなかつた。ただいんうつな空がおおいかぶさつているだけである。ラクダの一群が、のろのろとした歩みをつづけてゆく。くびにつけた鈴が、さみしい響きをたてる。わたしたちのトラックをのぞいて、すべてのものは、...