中囯のすぐれた画伯―齊白石は、ことし九十三才になる。髪もひげもすつかり白くなり、大柄で気品のある容貌をしたこの老翁は、中囯のほこりであり、また東洋のほこりである。九十三年といえば、一世紀にちかい。それは動乱と不安の世紀であり、戰爭の災禍と驚天動地の事件があいつぎ、あらゆる苦悩をへて最後に幸幅がおとずれた時代であつた。この時代に、翁は十二才のときから大工仕事をはじめ、今日までずうつと繪をまなび、書を...
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中囯のすぐれた画伯―齊白石は、ことし九十三才になる。髪もひげもすつかり白くなり、大柄で気品のある容貌をしたこの老翁は、中囯のほこりであり、また東洋のほこりである。九十三年といえば、一世紀にちかい。それは動乱と不安の世紀であり、戰爭の災禍と驚天動地の事件があいつぎ、あらゆる苦悩をへて最後に幸幅がおとずれた時代であつた。この時代に、翁は十二才のときから大工仕事をはじめ、今日までずうつと繪をまなび、書を...