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月への夢をかなえる衛星「嫦娥1号」

Year:2007 Issue:12

Column: レポート

Author: 高原=文

Release Date:2007-12-05

Page: 43-45

Full Text:  

十月二十四日、中国初の月探査衛星「嫦娥(じょうが)1号」が打ち上げに成功した。「嫦娥」という名前は、中国でよく知られる伝説「嫦娥、月に奔る」にちなんで付けられたもの。中国人にとって、月に対する憧れと想像が掻き立てられる伝説だ。
五百年前の明の時代、万虎という名の勇士が、四十七本の矢をくくりつけて飛ばすという簡易ロケットを使って宇宙に飛び立とうと試み、命を落とした。世界の科学者たちはこのことを忘れず、万虎は「世界で初めてロケットに乗って宇宙へ飛び立とうとした人」と認識されている。月面には彼の名を冠したクレーターもある。
そして今日、「嫦娥1号」が月に向かって打ち上げられた。先人の宇宙への憧れと持続可能な発展のための資源を探求するという人類の願いを載せて。


新型エネルギーを求めて

「嫦娥1号」には四つの主要ミッションがある。一つ目は、月面の立体映像を撮影すること。二つ目は、月面の有用元素の含有量と分布状況を分析すること。三つ目は、月の土壌の特性を観測すること。そして四つ目は、地球から月までの宇宙空間環境を調査することだ。

これらのミッションの中の課題の多くは、まだどこの国も手をつけたことがないか、完全には遂行されていない。たとえば、月全体の立体映像はまだ公表されたことがないし、月全体の土壌の特性と厚さの観測もまだ行われていない。米国はすでに五種類の有用元素の分布状況を公表しているが、今回「嫦娥1号」は、十四種類の分布状況を調査する予定だ。


①メーンコントロールルーム。スタッフたちは緊張の中、打ち上げを待つ

①メーンコントロールルーム。スタッフたちは緊張の中、打ち上げを待つ


②打ち上げの瞬間

②打ち上げの瞬間

このほか、「嫦娥1号」のもっとも注目されているミッションは、月面上の「ヘリウム3」の観測。「ヘリウム3」は、核融合発電の燃料として利用でき、百トンで全世界の一年分の発電需要を満たすことができる。また、環境にもやさしいため、将来のエネルギー問題を解決する重要な資源だとみなされている。地球上にはほとんどなく、開発も難しい「ヘリウム3」だが、月には大気層がないため、太陽風によって月面上に大量に運ばれてくる。

ある予測によると、月面上には百万~三百万トンの「ヘリウム3」があり、人類全体の約一万年分のエネルギー需要を満たすことができるという。

宇宙観測の第一歩

「嫦娥1号」の月探査は、中国の宇宙観測の第一歩に過ぎない。計画によると、中国の月探査プロジェクトは、次の三段階に分かれている。①月周回軌道を飛行②二〇一二年前後に月面への軟着陸を実現③二〇一七年までに月の土壌と岩石を採集して地球に持って帰る。

もっとも注目されているのは、有人の月面着陸の実現はいつかということだが、これについてはまだ具体的な計画はない。プロジェクトの総指揮官である欒恩傑さんは、「今回の打ち上げは、月への片道切符に過ぎません」と笑う。

このプロジェクトを実現させた後、中国は月をジャンプ台としてさらに広い宇宙空間で科学的観測を進める予定だ。

月は、人類がより広い宇宙空間へと向かうための理想的な乗換駅である。大気層がほとんどなく、重力も小さいため、月面から宇宙観測機や有人ロケットを打ち上げるのは、地球に比べて簡単なのだ。必要なエネルギー量も少なくてすむし、ロケットを打ち上げるときに使う原料も月で直接調達できる。

このほか、将来、火星の探査を行うときにキーポイントとなる技術もすべて月面でテストできる。宇宙飛行士の訓練も可能だ。月面上で徐々に宇宙生活に慣れることによって、火星およびさらに遠くの星への飛行の準備となる。

中国は現在、第二段階、第三段階の月探査プロジェクトのために、月面車の開発を進めている。この月面車は、月だけに用いられるわけではない。科学者たちは、将来の月面車を少し改良し、その後の火星着陸にも応用したいと考えている。

「嫦娥1号」と「かぐや」

一九九九年に月探査計画を始めた日本の月探査衛星と、二〇〇四年に始めた中国の月探査衛星が、偶然にも、どちらも自国の月に関する伝説の登場人物にちなんで名づけられているというのは興味深い。日本の「かぐや」は「嫦娥1号」の一カ月ほど前に打ち上げられた。しかしその働きやミッションは異なり、競争関係は存在しない。かえって、相互補助の関係にあるといえるだろう。

「嫦娥1号」の主要目的は月面の元素と土壌の特性を観測することにある。この観測は、月の資源の探求の始まりでもあり、最終的に高効率でクリーンなエネルギーの採集を目指す。一方「かぐや」の主要目的は、月の起源や太陽の月、地球に対する影響を研究することにあり、より高度な科学的探究の意義を含む。

高精度な月面の映像を撮影し、月の環境を観測するという役割の上では、「嫦娥1号」と「かぐや」はある程度重なるところがある。両者とも、今後、月面基地を建設するための準備をしているのだ。

中国、日本以外にも、インドやEUの国々が相次いで月探査計画を打ち出しているが、目的や働きはそれぞれ異なる。昔に比べ、今日の月探査プロジェクトはより開放された科学探究活動となっているといえるだろう。

中国も今回のプロジェクトの過程の中で、米国や日本、ロシアなど多くの国と協力して学術会議を開き、観測データを共有して、宇宙を探求するという人類の夢をともに実現しようと試みている。

嫦娥、月に奔る

この伝説についてはいくつかのバージョンがあるが、中国で一般的に知られているのは次のようなもの。

弓の名手·后弈(こうげい)はある日、西王母(西方の崑崙山に住むとされる中国の伝説の女神)から飲むと仙人になれるという「仙薬」をもらった。しかし后弈は妻の嫦娥一人を残して仙人になるわけにはいかないと、その薬をしばらく保管しておくよう嫦娥に渡した。ところがあるとき、その薬が他人に奪われそうになり、嫦娥はあわててそれを飲んだところ、天に舞い上がってしまった。夫·后弈のことが気がかりだった嫦娥は、人間の世界にもっとも近い月に住むことにした。

嫦娥が天に舞い上がったとき、一匹のウサギを抱えていた。そのため、そのウサギも一緒に月に昇り、「玉兎」(月にいる白いウサギ)になった。玉兎はいつも嫦娥のそばに座り、杵でつついて不老不死の薬を作っている。このほか、嫦娥は薬を盗んで月へ逃げたという説もある。

月についてはもう一つ、呉剛という人物の伝説も有名だ。

毎日遊び暮らしていた呉剛は、あるとき突然、仙人になりたいと家を飛び出した。しかし修行中に仙人を怒らせたため、月へ流刑となり、高さ500丈以上もある桂(かつら)の木を切り倒しに行かされた。ところがこの木はいくら切り込みを入れても、自然と元通りになる力があり、永遠に切り倒すことができない。そこで呉剛は、今でも月で一時も休まず、桂の木を切り倒しているという。

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