メモをみると、一九八九年五月二日の午後となっている。北京放送の東京支局長をしていたわたしは、東京·世田谷のお宅に、作家の井上靖さん(一九〇七~一九九一年)を訪ね、四時間近くお話をうかがった。孔子のこと、黄河と揚子江、漢字、健康法……。十数年たったいまも、珠玉のような輝きを放つ井上さんの言葉のかずかずが、鮮明な記憶となって、わたしの脳裏に刻まれている。井上さんはその力作『孔子』を書くため、孔子が生き...
Please login first!
メモをみると、一九八九年五月二日の午後となっている。北京放送の東京支局長をしていたわたしは、東京·世田谷のお宅に、作家の井上靖さん(一九〇七~一九九一年)を訪ね、四時間近くお話をうかがった。孔子のこと、黄河と揚子江、漢字、健康法……。十数年たったいまも、珠玉のような輝きを放つ井上さんの言葉のかずかずが、鮮明な記憶となって、わたしの脳裏に刻まれている。井上さんはその力作『孔子』を書くため、孔子が生き...