杭州·西湖畔の満月

だいぶ以前のことになるが、錢塘江の大逆流を見たあと、杭州に遊び、揚州にまで足を伸ばしたことがあった。夜は、西湖畔で中秋の満月を堪能した。一人一人が提灯をもって湖畔を歩き、佇み、月の出を待つのである。妻の皆子が、大逆流を目前にしてつくった俳句がある。江（こう）の逆流近づく白濁（はくだく）天体のよう逆流が白濁の波の列を連ねて錢塘江を逆上（さかあげ）ってきたときは、岸に集まって待機していた人たちのあいだ...