翌日の朝、さわさわという溪流の音で目をさました。朝食をすませて、旅の終点、中国·ベトナム国境の町、河口に向かう準備をする。われわれは保線車で「人字橋」に行くことにした。橋げたが「人」字形に似ているこの橋は、谷の深さ二〇〇メートル、山と山の距離六七メートルの所にかけられているもので、橋の高さは九七メートルだ。全線随一の難所である。フランスの技師ポールボチン女史が設計し、一九〇七年三月に着工、翌年十二...
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翌日の朝、さわさわという溪流の音で目をさました。朝食をすませて、旅の終点、中国·ベトナム国境の町、河口に向かう準備をする。われわれは保線車で「人字橋」に行くことにした。橋げたが「人」字形に似ているこの橋は、谷の深さ二〇〇メートル、山と山の距離六七メートルの所にかけられているもので、橋の高さは九七メートルだ。全線随一の難所である。フランスの技師ポールボチン女史が設計し、一九〇七年三月に着工、翌年十二...