永泰元年(七六五)の初夏、四年間住みなれた成都の杜甫草堂を離れ、杜甫は家族をつれてまた船に乗り、岷江ぞいに南下して嘉州(楽山)、戎州(宜賓)を経て長江に出、東へ向かい、瀘州(ろしゆう)(濾県)、渝州(重慶)、忠州(忠県)とたどって帰郷するつもりだったが、途中で寝込んだり、船の都合で待たされたりして、雲安(雲陽)についたときはもう九月になっていた。杜甫は雲安の県令をしている厳という人の持ち家で四カ月...
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永泰元年(七六五)の初夏、四年間住みなれた成都の杜甫草堂を離れ、杜甫は家族をつれてまた船に乗り、岷江ぞいに南下して嘉州(楽山)、戎州(宜賓)を経て長江に出、東へ向かい、瀘州(ろしゆう)(濾県)、渝州(重慶)、忠州(忠県)とたどって帰郷するつもりだったが、途中で寝込んだり、船の都合で待たされたりして、雲安(雲陽)についたときはもう九月になっていた。杜甫は雲安の県令をしている厳という人の持ち家で四カ月...