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Your search : [ author:波多野真矢] Total 24 Search Results,Processed in 0.079 second(s)
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1. 『群英会』
筆者紹介 波多野真矢(はたのまや)さんは 東京生まれ。幼い頃、中国研究者の祖父·乾一氏の遺した書画·骨董·漢籍·京劇の写真などに囲まれて育ち、中国文化への漠然とした憧れと親しみを培う。その後国学院大学で中国古典文学を専攻し、慶応義塾大学大学院で京劇を研究し、修士号を取得。また、東京票房で青衣の歌を、京劇研究会で京劇の演技を学び、舞台に立つ。91年に北京の中央戯劇学院戯劇文学系に留学、93年に作家靳
Author: 波多野真矢 Year 1999 Issue 1 PDF HTML
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2. 『玉堂春』
海外公演でも滅多に上演されなければ、物語も『水滸伝』や『西遊記』のように知られてはいない。おそらく、この芝居を御存知の方は極めて少ないと思いますが、その一節の「蘇三離了洪洞県……(スウサンリイリャオホントンシエン)」という歌を知らない中国人はまずいない、というくらいに中国人に親しまれているのが、この『玉堂春』です。京劇では、立ち回り中心の劇を「武戯」、動きの少ない歌やセリフ中心の劇を「文戯」と大別
Author: 波多野真矢 Year 1999 Issue 2 PDF HTML
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3. 『貴妃酔酒』
春宵一刻値千金、何ぞ燭を乗りて遊ばん。ようやく冬が過ぎ、百花が綻び再びめぐりくる春に、誰もが血潮の温まるのを覚えます。匂やかな花花の中にあってその王たるにふさわしい解語(かいご)の花、(言葉のわかる花。転じて、美人。玄宗が楊貴妃を指して言ったことば)絶世の美女·楊貴妃が酒に酔う、今宵は『貴妃酔酒』(きひよいゆ)の芝居の話です。楊貴妃は、唐の玄宗皇帝との永遠の愛を詠った白楽天の詩『長恨歌』によって、
Author: 波多野真矢 Year 1999 Issue 3 PDF HTML
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4. 『挑滑車』桜の如く散った若武者
若葉萌ゆる春の気の清々しいこの季節には、若々しい武将の凛とした姿が似つかわしいように思います。あるいは私自身がかつて名にし負う春の西湖のほとりでこの芝居を見たという個人的感傷からかもしれませんが、今月は、南宋の岳飛の武将·高寵の『挑滑車』を御紹介致しましょう。高寵という人は、岳王廟に祭られ今なお人々に敬愛される南宋の忠臣·岳飛の武将で、岳飛の生涯を描いた物語『説岳全伝』に登場します。京劇には、母か
Author: 波多野真矢 Year 1999 Issue 4 PDF HTML
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5. 『白蛇伝』人界を超越した気高さ
『白蛇伝』は、杭州·西湖のほとりにあった雷峰塔という建物にまつわる伝説として広く流布している物語です。『夕鶴』のように、かつて許仙という書生に助けられた恩返しのため、蛾眉山に住む白蛇がその妹分の青蛇をつれて女性になって許仙と結婚したものの、法海という僧が白蛇を鉢に封じ込め雷峰塔の下に鎮めた、というものです。蛇は五毒(蛇·トカゲ·ガマ·サソリ·ムカデ)の一つで、邪悪な、不吉なものなのですが、この物語
Author: 波多野真矢 Year 1999 Issue 5 PDF HTML
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6. 『釣金亀』
中国では御存知の通り、お年寄りは尊敬されとても大切にされています。年をとることイコールマイナスで、何とか若さを保とうと必死で努力する日本とは全く反対です。社会でも、家庭でも、老人の権力と威厳、存在感は相当なものです。以前、知り合いに青海省出身でラジオのアナウンサーをしていた、マッチのようにひょろっと痩せた青年がいて、職を無くし、恋人にもふられてよく北京の拙宅に入りびたっていました。愛嬌もあり才能も
Author: 波多野真矢 Year 1999 Issue 6 PDF HTML
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7. 『坐楼殺惜』―南方の空気の中の京劇
中国は広い。同じ国でありながら北方と南方では考え方も好みもまるで異なります。京劇もまた然り。北京の京劇は「京派」又は「京朝派」と呼ばれ、正統的で伝統を重んじるのに対し、新趣向を好んで取り入れ、ケレン味に富み商業性に勝るのが「海派」と呼ばれる上海の京劇です。歌舞伎でも江户歌舞伎と上方歌舞伎があるように、それぞれの土地柄に染まってその色合いを醸し出していますし、それが刺激となって、影響し合ったりもして
Author: 波多野真矢 Year 1999 Issue 7 PDF HTML
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8. 『烏盆記』京劇の幽霊
北京の夏は、とにかく暑い。留学するまでは北緯は日本の青森くらいで冬は酷寒でも夏は涼しいはずと、高をくくっていましたが、三五度以上はざらで、ひどい時には四〇度にもなるのです。激しい動きがあり、兜や被り物などで冬でも汗をかく京劇は、夏には公演回数がぐっと減ります。絹製の衣装が汗でだめになるからだそうです。最近は冷暖房設備の整った劇場も出てきましたが、以前は見ている方もじっとり汗をかき、休憩になると売店
Author: 波多野真矢 Year 1999 Issue 8 PDF HTML
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9. 『秋江』-秋の川面を流れてゆく恋心
恋に落ちると信じられぬ程の力が生まれ、その力が人を思いもかけぬ方向へとつき動かす。道徳も、社会規範も、命さえも、軽々とどこかへ飛んでいってしまう。そして様々な曲折や事件が起こる。時の古今、洋の東西を問わず恋愛は演劇の格好の題材です。京劇の恋愛物の演目には、愛情を貫くとか、節を守るとか、恋愛の美徳賞賛的物語はたくさんあるのですが、恋に身を焦がしたり悩んだり、恋愛の機微をじっくり描くという傾向にはなく
Author: 波多野真矢 Year 1999 Issue 9 PDF HTML
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10. 龍鳳呈祥幸せ気分の名劇
建国五十周年という大きな節目を迎える今年の国慶節。春節と並ぶ重要な節句のある十月は「喜気洋々」、爽やかな気候の中、天安門を中心として街中いたる所にきれいに並べられた花かごや花飾りが溢れ、普段の街とはまた違った様子を見せてくれます。おめでたい時にはおめでたい芝居がつきものです。この時期「慶祝国慶節」などと銘打って、普段はお目にかかれないようなとっておきの豪華な配役で、華々しい演目がずらりと上演される
Author: 波多野真矢 Year 1999 Issue 10 PDF HTML