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Your search : [ author:文·李順然(リーシュンラン)題字·絵 于叔方(ユィシューファン)] Total 16 Search Results,Processed in 0.110 second(s)
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1. 十年一昔
十年一昔という。ふと十年前にはなにをしていたかなと考える。一九八七年の末に北京放送の東京支局長として日本に赴任しているので、日本にいたことになる。この年の四月には、東京の東方書店から『わたしの北京風物誌』という本をだしている。この本はわたしにとって遅まきながらいわば「処女作」だったので、「十年一昔」を感じさせるいろいろの思い出がある。この本には、陳舜臣さんが序を寄せてくださった。その中で陳さんはこ
Author: 文·李順然(リーシュンラン) 題字·絵于叔方(ユィシューファン) Year 1998 Issue 10 PDF HTML
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2. 創刊号·記念号
年のせいだろうか、ちかごろだいぶ涙もろくなってきたようだ。過日も送られてきた雑誌『人民中国』六月号『人民中国』創刊四十五周年記念号(以下「記念号」)のページをめくっていて知らず知らず涙を流してしまった。喜びの涙もあったし、悲しみの涙もあった。この「記念号」のグラビアページ「表紙に見る中国現代化への道」と特集「時代の記録『人民中国』の四十五年」……、わたしが新中国とともに歩んできた四十五年と重なりあ
Author: 文·李順然(リーシュンラン) 題字·絵于叔方(ユィシューファン) Year 1998 Issue 11 PDF HTML
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3. 新疆随想 (一)
「和(わ)を貴(たつと)しと為(な)す」―二千余年の風雪を経てきた孔子(紀元前五五二~四七九年)のこのことばは、いまも中国人の心に深く根を下している。おそらく世界のどの国、どの地方のことばに訳しても、その国、その地方の人でこのことばに異をとなえる人はいないだろう。孔子が「貴し」とする「和」には、まず人と人との和、人と大自然との和……があったと思う。だが、もうすぐ過ぎ去ろうとしている二十世紀、人と人
Author: 文·李順然(リーシュンラン) 題字·絵 于叔方(ユィシューファン) Year 1999 Issue 1 PDF HTML
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4. 新疆随想(二)
「カシュガルを訪れなければ新疆は語れない」という人が多いが、今度の新疆の旅では幸いにもこのカシュガルを訪れることができた。ウルムチから空路さらに西へ千八十キロ、今度もロシア製の旅客機だったが、胴体には新疆航空のマークとともにロシアのボルガ航空のマークが入っていた。パイロットはロシア人、新疆航空がレンタルしているT154である。一時間二十五分のフライトを終えてカシュガルに着いたのは午後九時二十分、ま
Author: 文·李順然(リーシュンラン) 題字·絵 于叔方(ユィシューファン) Year 1999 Issue 2 PDF HTML
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5. 新疆随想(三)
新疆の旅は続く。カシュガルからさらに西へ、クズロスキルギス自治州に入る。ここはキルギスタン、タジキスタンと国境を接する中国の最西端、総人口は四十二万人、そのうちキルギス族が十二万人で、全中国のキルギス族の八十六パーセントがこの土地に暮らしている。かつて中ソ関係が険悪化した時代には、国防の前線として緊迫した日々があったというが、いまではキルギスタン、タジキスタンとの物資や人員の交流も頻繁で、「和を貴
Author: 文·李順然(リーシュンラン)題字·絵 于叔方(ユィシューファン) Year 1999 Issue 3 PDF HTML
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6. 藤野先生
藤野先生は、中国で非常に知名度の高い日本人である。といっても、藤野先生は有名な政治家でも、企業家でも、芸術家……でもなく、中国を訪れたこともない。中国人の多くが藤野先生の名を最初に知るのは、中学校のときだろう。というのは、中国の全国の中学校で使用されている『語文』(国語)の教科書に「阿Q正伝」「狂人日記」などの作品を残した中国の文豪魯迅(一八八一~一九三六年)が日本留学の思い出の一齣(こも)を綴(
Author: 文·李順然(リーシュンラン)題字·絵 于叔方(ユィシューファン) Year 1999 Issue 4 PDF HTML
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7. 「代際関係」
今年は、国連によって「国際高齢者年」とされている。中国でも、これを「国際老人年(クオチーラオレンエエン)」とよび、いろいろの行事がおこなわれている。「老人(ラオーン)」は、中国では昔も今もまぎれもない尊敬語で「老人のくせに……」などといった使われ方はなく、「国際老人年」というネーミングもすんなりと耳あたりがいい。ところで、今年も「国際高齢者年」にしたことについて、北京で発行されている月刊誌『中国老
Author: 文·李順然(リーシュンラン) 題字·絵 于叔方(ユィシューファン) Year 1999 Issue 5 PDF HTML
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8. 凱風·暖風·薫風·和風
日本の俳句の歳時記のページをめくってみると、「風の香も南に近し最上川」(芭蕉)「六月も奇麗な風の吹くことよ」(子規)……といった句が目に入る。日本の五月、六月は、風の香りに心を引かれる月なのかも知れない。北京も同じである。一月(ひとつき)ちょっとという北京の短い春が終ってかけ足で訪れる初夏、軽やかな風と共にやって来る快い香り、それがライラックやネムの香りであることもあるし、新緑から万緑へと緑を濃く
Author: 文·李順然(リーシュンラン) 題字·絵 于叔方(ユィシューファン) Year 1999 Issue 6 PDF HTML
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9. 物と心
今年のはじめのことだ。ちょっと体調をくずして家で休んでいるわたしを勤め先(中国国際放送)のわかいスタッフが見舞いに来てくれた。輸入品の高価な果物の籠を持って……。「いや、こんな高いもの、手ぶらで来てくれればいいのに……」「病気のときぐらいぜいたくしなきや、治りませんよ……」―こんな会話から、話は「消費観」とでもいうのだろうか、お金の使い方へと弾(はず)んだ。わかい彼氏、彼女たちの「消費観」は、要約
Author: 文·李順然(リーシュンラン) 題字·絵 于叔方(ユィシューファン) Year 1999 Issue 7 PDF HTML
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10. 八月十五日
今年も八月十五日が近づいてきた。この日が日本にとって終戦の日なのか敗戦の日なのか、そしてそれによってやってきたのが進駐軍なのか占領軍なのか……、半世紀以上たったいまでも、日本では新聞はじめその表現はまちまちで統一されていない。まあ、これはこれとして、もっと気になるのはあの戦争の性質についてさえも、日本軍は中国に進出したのか侵略したのか……といったことすら閣僚のあいだからも雑音が聞こえてくるなどなど
Author: 文·李順然(リーシュンラン) 題字·絵 于叔方(ユィシューファン) Year 1999 Issue 8 PDF HTML