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Your search : [ author:文·李順然 題字·絵 于叔方] Total 101 Search Results,Processed in 0.104 second(s)
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1. (一)題未定
六月のことだった。足の手術(静脈瘤(りゆう))を終えて休んでいるわたしのところに、『人民中国』雑誌社の楊哲三副社長から電話があった。「来年の『人民中国』について相談したいんだけど……社の方に来てもらえる……」「足の方がまだあまりよくないし、もう言いたいこと全部しゃべっちゃってるから……」「いや、車で迎えに行くから。李さん、うちの顧問でしょ……」。そう、たしか二、三年前に口頭だったが『人民中国』社の
Author: 文·李順然 題字·絵 于叔方 Year 1995 Issue 12 PDF HTML
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2. 初日の出
十年も前のことになる。一九八五年の一月一日、わたしは北京郊外の万里の長城の上に立って初日の出を迎えた。天気予報では北京の気温は零下十度と伝えられていたが、市内から北へ五〇キロ、山の上にある万里の長城で肌に感じる寒さはもっと厳しいものだった。日の出は七時三十六分と聞いていた。七時をちょっと回ったころに万里の長城に着く。東の空が眺められる一角に陣取り、凍える手でウイスキーを傾けながら日の出を待つ。七時
Author: 文·李順然 題字·絵 于叔方 Year 1996 Issue 1 PDF HTML
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3. 春節
中国人の暮らしの知恵といえば、新暦と旧暦の巧みな使い分けもその一つだろう。普段は新暦で進められていく暮らし、だが一年に何回か旧暦が人々の暮らしに大きく顔をだしてくる。頭をもたげてくる。春節(旧正月)、端午の節句、中秋の節句……などの前後だ。こうした旧暦で祝われる祝祭日は、どちらかというと単調な新暦の暮らしの流れに、家族の絆(きずな)、故郷の香(かお)り、自然の采(いろどり)、歴史の歩み……といった
Author: 文·李順然 題字·絵 于叔方 Year 1996 Issue 2 PDF HTML
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4. 早春
「如春堂閑談」というタイトルをつけた以上、春を迎えて春に触れないわけにはいくまい。五日間の日平均気温が十度から二十二度までを春、秋とする規準でいくと、北京の春は四月一日から六月四日までの六十五日間となる。だが、これはあくまでも寒暖計にあらわれた春、いわば機械的なものだ。北京市民の眼に、心に映る春は、柳が緑の芽をふき、迎春花が黄色い花をつけ、桃がピンクの花をひらき、白木蓮が白い花をふくらませるころ、
Author: 文·李順然 題字·絵 于叔方 Year 1996 Issue 3 PDF HTML
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5. 病院暮らし
去年の四月は、ほとんど病院暮らしだった。北京人民病院で右足の静脈瘤(りゆう)の手術をしたのだ。まだ物心がつかないころ骨膜炎で入院したそうだが、これはまったく記憶にない。このほか、扁桃腺(へんとうせん)の手術で一週間ほど入院したこともあるが、今度のように一月近い病院暮らしは、わたしの人生にとって最初の体験だった。ちょっとおかしないい方かも知れないが、とても新鮮な体験だった。お医者さん、看護婦さん、患
Author: 文·李順然 題字·絵 于叔方 Year 1996 Issue 4 PDF HTML
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6. ベルダマヨ
ベルダマヨとは、エスペラントで「みどりの五月」という意味だそうだ。北京にみどりの五月が訪れるたびに、わたしはこのベルダマヨというエスペラントのペンネームを持つ日本人女性のことが頭に浮かぶ。本名は長谷川照子(一九一二~一九四七年)という。長谷川テルという愛称で知られている。長谷川照子は、日本の中国侵略に憤って中国に渡り、揚子江(ようすこう)中流の武漢の放送局のマイクを通じて日本語で「日中戦わず」「中
Author: 文·李順然 題字·絵 于叔方 Year 1996 Issue 5 PDF HTML
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7. 思い込み
「中日両国民は、いまこそ冷静に、真剣に理解を深めあうときではないだろうか」―これは一九〇〇年生まれ、二十世紀の歴史の流れを見つめつつ、去年九十五歳で亡くなった中国の知日派の大御所、中日友好協会の会長を務めたこともある作家夏衍(シアエン)氏が遺していったことばだ。夏衍氏は青年時代の七年間を日本で過ごしている(明治専門学校、現在の九州工業大学で学ぶ)。夏衍氏は、なぜこれほど中日両国民のあいだの冷静かつ
Author: 文·李順然 題字·絵 于叔方 Year 1996 Issue 6 PDF HTML
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8. 巣湖の旅
わたしは旅が好きである。とりわけ中国の旅が好きだ。中国の旅は、中国の長い歴史の「点」と「線」を結びつけてくれるからだ。わたしの住む北京をとっても、西郊外では五十万年前の人類シナントロプス·ペキネンシス(北京原人)から二十万年前の人類新洞人、二万年前の人類山頂洞人の骨や歯、石器が発掘されている。一万年前から四、五千年前の新石器時代の遺跡となると、北京の各地で見つかっている。また、紀元前一〇二七年に誕
Author: 文·李順然 題字·絵 于叔方 Year 1996 Issue 7 PDF HTML
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9. (九)南人と北人
去年のことだ。友人から『南人と北人』(大世界出版有限公司)という本をいただいた。「各地の中国人の性格と文化」というサブタイトルのついたこの本は、魯迅、郁達夫といった中国の文人が中国各地の人の性格や文化について綴(つづ)ったエッセイを集めたものである。前々から読みたいと思っていたが本屋さんでは品切れということが多く、手に入らずにいたので、遠慮なく頂戴(ちょうだい)してそのページを開いてみた。まず、こ
Author: 文·李順然 題字·絵 于叔方 Year 1996 Issue 8 PDF HTML
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10. 孔子から孫中山まで
毎年、北京の街に迎春花の花が咲き始めるころ、中国人民政治協商会議の全国会議が開かれる。わたしもこの会議の委員に選ばれているが、なにせまだ「一年生委員」で経験不足、それでも先輩たちに教えを乞(こ)いながら自分なりに一生懸命発言したり、提案をだしたり、視察にでかけたりしている。会議そのものに身を入れる一方、会議のあい間に各方面に造詣の深い委員と知り合いになり、お話が聞けるのも、わたしのひそかな楽しみの
Author: 文·李順然 題字·絵 于叔方 Year 1996 Issue 9 PDF HTML